|
○つぶやき寸評
酒は醸造酒と蒸留酒という分類ができる。前者は日本酒やワイン、ビールで、後者は焼酎やブランデー、ウィスキーである。
酒は液体であり水分やアルコール分が含まれている。醸造酒を加熱すると、液体なのだから蒸発が始まる。蒸発は加熱の温度帯によって成分が異なり、アルコールは水よりも低い温度で蒸発を始める。蒸発した成分を冷やすと液体に戻る。アルコールと水の沸点の違いを利用してアルコール度数の高い酒を造る技術が蒸留である。
今回は、日本酒で定評のある酒蔵が蒸溜する2本を比べてみる。
まずは伴野酒造の「信濃の仁右衛門」である。これは蕎麦焼酎。注ぐとすぐに、蕎麦の豊かな香りが広がる。とても香しい!この香りを空腹で嗅ぐと蕎麦をすすりたくなる。
まずは、ストレートで口に含んでみる。スーッと染み込むアルコール感が鮮烈。アルコール度数は25度。普段取り上げている日本酒と比べると8度くらい高い。言うまでもなく、その差は歴然。喉を通った後に蕎麦の香しい余韻が残る。
次に、水割りを試す。当然、加水することで味わいはまろやかになり、ほんのり甘味も感じられるようになる。水割りにしても蕎麦の香りが縮むことはなかった。
お湯割りも試してみる。水で割るよりも、もっとまろやかになった印象で、蕎麦の余韻も長くなる。暖かみが染み渡る味わいである。
水で割っても、お湯で割っても「信濃の仁右衛門」はとても香しいので、この香りに匹敵する料理と合わせなければバランスが取れない。イワシやニシンなどの甘露煮と合わせるのが良いと思う。そして、どれだけ酒が進んでも〆めは蕎麦だろう
|
○つぶやき寸評
焼酎の人気ランキングを見ていると芋焼酎や麦焼酎が目立つ。しかも九州産。しかし、焼酎は米や蕎麦でも作られている。そして、美味しい酒を造れるのは九州だけではない。「信濃の仁右衛門」は蕎麦焼酎で長野県産。もう一方の「宜有千萬」は米焼酎で新潟県産。日本酒「八海山」で有名な八海醸造の米焼酎である。
米焼酎は日本酒を加熱して造る。旨い日本酒から旨い米焼酎が造られるのは理にかなっている。大いに期待できる。
注いでみると「信濃の仁右衛門」ほどの香りは立ち上ってこない。しかし、興味深く嗅いでみると日本酒「八海山」のような果実味たっぷりの香りを放っている。日本酒「八海山」の蔵元で作られていることを証明している。
色は無色透明。蒸留酒は基本的に無色透明。ウィスキーなどに色が着いているのは木樽で貯蔵されるからである。
ストレートで口に含んでみると、日本酒「八海山」のような甘味が広がるのではなく、アルコールの刺激が染み込んでくる。余韻のようにかすかな甘味が残る。
「信濃の仁右衛門」と同様に水割りも試す。すると、果実のような香りが引き立ったように感じる。当然、口当たりもやさしくなり、より日本酒の「八海山」に近づいた印象。
お湯で割ると、アルコールの揮発感が前面に出て、フルーツのようなほのかな香りは影を潜めてしまう。味わいは極めてプレーン。まろやかな飲み心地が強調される。
想像以上に日本酒「八海山」素性を引き継いでいる「宜有千萬」であった。相性の良い料理は日本酒「八海山」と変わらないだろう。白身魚の刺身や酢の物が良いと思う。
|