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○つぶやき寸評
今月は「酒米」の違いに着目。今月の「ブームの逸品」でも述べているとおり、ワインの場合、原料のブドウ品種が違うことで、味わいが大きく異なる。
ソムリエの資格試験では、ワインを試飲してブドウ品種を答える課題が出されるが、この課題に正解しないと合否に大きく影響するという噂である。
それほどブドウ品種が大事なのである。ワインは水を加えず、その水分は果汁のみ。ブドウが味わいを左右するのは当然である。
さて、日本酒について、その醸造で水を加える。
しかし、味わいの要素となる原料は米だろう。
今回は、米の違いを明確に呑み分けるため、同じ作り手、同じ銘柄、酒米のみ異なる「泉橋酒造」の「とんぼ」を試飲する。「泉橋酒造」は地元で穫れた米にこだわる作り手。今回の試飲に最適である。
まず、「とんぼ4号 亀の尾」である。
「亀の尾」は明治時代には広く栽培され、食用米でもあったササニシキやコシヒカリも、このルーツ。「泉橋酒造」では自社栽培している。
その「亀の尾」を注ぎ、薫りを嗅ぐと、レモンやグレープフルーツよりも、もう少し色味の濃い柑橘類、でも、まだ熟していないような甘さを思わせる温州ミカンのよう。
味わいも引き締まった果実のよう。強く冷やしてしまうと、味わいは縮んでしまうかもしれないが、スッキリ感が増して喉ごしが爽やかになる。
どんな料理にも合わせられそう。スッキリとしているから、白身の刺身ともバランスが合うし、逆に、モツ煮のようなしっかり味の料理なら、その濃さを洗い流して食欲をそそるだろう。万能な酒である。
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○つぶやき寸評
もう1本も「泉橋酒造」の「とんぼ」である。こちらは酒米に「神力」を使用している。
神奈川県海老名市で穫れた「亀の尾」に対して、
この「神力」は神奈川県座間市で穫れたものである。
ワインで言うところのテロワールやミクロクリマなどの地勢や気候条件も整っている。かつてのヨーロッパのワイン先進国は地勢や気候条件がワインの味に大きく影響を及ぼすと考えていて、前述のテロワールやミクロクリマを重要視する傾向がある。フランスのブルゴーニュに至ってはテロワールやミクロクリマを尊重するあまり、畑に等級をつけるほどである。
今回、海老名の「亀の尾」と座間の「神力」の試飲ということで、テロワールやミクロクリマ的なパラメータは整えられている。
「神力」も「亀の尾」と同様に現代よりも明治時代に重宝された品種。「亀の尾」や「愛国」と共に三大品種と呼ばれていたそうだが、新種に淘汰されてしまった。 さて、「神力」を注いでみると、「亀の尾」よりも色が濃い。ほんのり淡く緑がかっている。薫りも「亀の尾」と比べると、やや濃厚。マスカットを思わせるような薫りも含まれている。ただ、熟したマスカットと言うよりも、やや若い感じ。「亀の尾」も若いみかんを連想したから、薫りに引き締まり感があるのが「泉橋酒造」の特徴かもしれない。
味わいも引き締まった印象に変わりはないが、「亀の尾」よりはふくよかかもしれない。ほのかにマスカットを思わせる甘味もあり、後味スッキリの爽やかな飲み口。ただ、マスカットで作ったワインはアルコールの低い甘口なワインが多いが、「神力」は、しっかりとした
辛口。どんな料理とも合わせられそうな中立な味わいである。
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